売買や賃貸などの不動産の取引では、実は「レインズ」というシステムが活用されていることを知っていましたか。レインズがあることで、オフィスビルの賃貸でも不動産会社間の取引が公正に行われるように促されているのです。レインズとはいったい何か、不動産会社がレインズを利用するメリットなどについてみていきましょう。
レインズとは、「Real Estate Information Network System」の略称です。不動産会社間での情報提供のためのネットワークシステムをいい、不動産の売買をはじめとして、オフィスの賃貸でも使われているものです。ただし、個人で利用できるものではなく、レインズに加盟する不動産会社が利用することができます。
レインズは国土交通大臣から指定流通機構として指定を受けた不動産流通機構によって、全国を4つの法人に分けて運営されています。その4つとは、東日本不動産流通機構と中部圏不動産流通機構、近畿圏不動産流通機構、西日本不動産流通機構です。
レインズのサーバーと会員のパソコンやFAXは、オンラインで結ばれています。会員である不動産会社はレインズへの物件の登録や検索は、パソコンから行うことが可能で、携帯電話からも物件の定の検索はできます。レインズでは、登録された情報を市況の判断材料としても、活用しています。
レインズを利用することで、不動産会社は物件の流通情報を容易に知ることができるのです。また、不動産の流通情報を知ることは、オフィスの賃料の適正な価格での取引にも貢献しています。レインズでの情報はどこの不動産会社でも同じものが得られますので、サービスで差をつけるといったことも考えられるのです。
レインズのメリットは媒介契約の形態によっては、オーナーに大きなメリットがあります。
一つの不動産会社とだけ媒介契約を結ぶ、専属媒介契約や専属選任媒介契約では、不動産仲介会社が仲介手数料をオーナー側と借主側の両方から得る、いわゆる「両手取引」が危惧されます。物件の囲い込みを図って不当な不動産取引を行う不動産会社があるためです。
たとえば、ほかの不動産仲介会社には物件の情報を流さずに、入居者が現れるまで長期化することや、強引にオーナーに賃料の値引きを迫って自社で客付けを行う可能性があるのです。
宅建業法の規定によって、専属媒介契約では7日以内、専属専任媒介契約では5日以内に仲介業者にレインズへの登録の義務があります。レインズへの登録によって、ほかの不動産仲介業者にも物件の情報が広く伝わります。レインズがあることで、オーナー側にとっては不当な取引を防いで、公正な取引を期待することができるのです。
しかし、オフィスなどの不動産物件はすべてがレインズに載っているわけではありません。
媒介契約が結ばれたばかりの物件や一般媒介契約の物件など、レインズに掲載されていない物件もあります。賃料が広く知られることをオーナーが嫌がるケースなど、意図的に一般媒介契約にすることで、レインズへ掲載されていない物件もあるようです。
また、レインズに掲載されている物件でも、検索の仕方などで仲介業者によって提案される物件には変わります。
不動産会社によって得意分野がありますので、オフィスを専門とする不動産仲介会社を利用すると、希望する物件の紹介を受けやすいこともあるのです。
オフィスを借りるときに、複数の不動産会社を回ると同じ物件が紹介されるのは、レインズのシステムによるものが多いです。多くのオフィスを目にすることで、賃料の相場感を養うことができます。不動産会社によってはレインズに掲載されていない物件を持っていることもありますので、複数の不動産会社に相談してみましょう。
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