超高層オフィスビルの容積率ってどうなっているの?

閲覧数:20,887     更新 2016年12月5日更新
カテゴリ: 不動産用語
最近はますます超高層ビルが増えているようですが、超高層ビルを見上げ、容積率はどうなっているのだろうと不思議に思ったことはありませんか?例えば30階建ての建物では容積率は数千%になるはず。「上限はないの?」そんな疑問も生まれてきますね。今回はオフィスビルの容積率に注目してみました。容積率の基本からご説明いたします。

建ぺい率と容積率

建ぺい率・容積率という言葉は建築基準法では使用されていませんが、建ぺい率は「建築面積の敷地面積に対する割合」、容積率は「延べ床面積の敷地面積に対する割合」という表現になっており、これらの割合の上限は用途地域ごとに、建ぺい率では30%~80%の範囲で、容積率は50%~1300%までの範囲で細かく定められています。例えば100坪の土地で建ぺい率が80%の場合、最大80坪の建築面積の建物を建てることができます。また同じ土地で、容積率が1300%だとすると、最大13000坪の延べ床面積の建物(約16~17階建て)が建てられるということです。

容積率の緩和

容積率にはさまざまな緩和制度があり、1994年の建築基準法の改定により、集合住宅の共用部分は容積率には含まれない、地階部分は、建物全体での住宅部分面積合計の3分の1を限度として、容積率には含まれなくなりました。また、一定規模以上の敷地で住宅を含む建築物の場合、敷地内に設ける一定規模以上の公開空地を確保することで、容積率が緩和されます。さらに、特殊地区でも容積率が緩和されます。特殊地区とは、「高度利用地区」・「特定街区」・「特定容積率適用地区」など。「高度利用地区」とは現在開発が進んでいないが、今後は高層ビルの開発が予定されている地区。「特定街区」とは土地開発の方針から、再開発促進地区・再開発誘導地区に指定されている地区。「特例容積率適用地区」とは「特例容積率適用区域制度」の実施可能地区のことです。

特例容積率適用区域制度とは?

都市計画区域内の一定の区域を定め、その区域内における建築敷地の定められた容積率のうち、未使用の容積率(余剰容積率)を、複数の建築敷地に移転させることができる制度のことです。「容積率移転」ともいいます。容積率の移転は、「特定街区」や「高度利用地区」でも、隣接する建設敷地間においては行うことが可能ですが、「特例容積率適用区域制度」の指定区域内では、隣接していない敷地間でも容積率移転が可能です。この制度は2000年新設されましたが、現在のところ「特例容積率適用地区」は2002年指定された、東京都千代田区の「大手町・丸の内・有楽町地区」のみとなっています。

空中権を売る?

「特例容積率適用区域制度」の現在唯一の適用例は、東京駅の残余容積率を東京ビルディング・新丸の内ビル・丸の内パークビルディング・グラントウキョウ等の超高層ビルに移転した件です。JR東日本は東京駅の空中権を周辺のビルに売ることで、2012年に開業当時の姿に復元された東京駅丸の内側にある赤レンガ駅舎の復元工事費用(500億円)の資金調達を行ったということです。そこで気になるのが、どのようにして空中権の価格を決めるのかということですが、地価配分率や階層別効用比率で求めるそうです。
「空中権の売買」はアメリカニューヨークでは100年前から行われ、「移転可能な開発権」として法制化もされています。ニューヨークマンハッタンのグランドセントラル駅の空中権売買により、容積率2000%を超える超高層ビルが立ち並び、摩天楼と呼ばれているのは有名ですね。近い将来、東京も東洋のニューヨークとなるのでしょうか?2016年時点で、日本における最大の容積率は、新丸の内ビルの1760%だそうです。
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