オフィスビルには、原則として非常用進入口を設置するよう建築基準法において義務付けられています。普段あまり気にすることはありませんが、万が一、災害が発生した際の消防救助活動に欠かせない、きわめて重要なものです。ところが、意外なことに、確認検査機関などの指摘によって建物ができあがった後に設計ミスがあったことに気がつくというケースも少なくないようです。今回はオフィスビルの非常用進入口についてまとめます。
非常用進入口とは、万が一、火災・地震などの災害が生じた際に、消防隊員が救助活動をスムーズに行うことを可能とするために設置される進入口のことです。原則として、通行可能な道路に面した外壁面に非常用進入口を設置することが義務付けられています。たとえば小規模ビルなどで、3階以上の階層の窓の部分に赤い色をした三角形マーク(下向き)が付いた扉があるのを見かけたことがあると思いまが、それが非常用進入口であることの目印です。
非常用進入口は、消防および救出活動を円滑に行うためのものであるため、消防隊員が容易に進入できることが設置条件となります。建築基準法では、3階以上の建築物であれば、どのような用途であるかに関係なく、31m以下の高さに非常用進入口を設置することが義務付けられています。建築物の同階には、幅40m間隔での設置が必要になります。また、非常用進入口が設置される外壁は、幅4m以上の道路・通路に面していなくてはなりません。さらに、原則として、非常用進入口があることを示す下向きの赤い三角形シールと合わせて、窓の上には赤色灯を設置しなくてはなりません。
ただし、以下の3つのいずれかに該当する場合、非常用進入口の設置が免除されます。
1. 非常用エレベーターが設置されている
非常用エレベーターがあれば、進入口がない場合でも、消防隊員は行きたい階まで容易に進入が可能です。
2. 不燃物などが保管されている
そのすぐ上の階もしくは直下の階から進入することができる場合、不燃性の物が保管されているほか、火災が発生する可能性が少ない階についても設置義務がありません。
3. 代替進入口がある
非常用進入口に代わる進入口がある場合も設置を免除されます。その場合、赤色灯をつける必要がなくなるため、デザイン上の外見を重視する場合などには、この代替進入口が設置されています。
また、屋内からの侵入を防ぐ正当な理由がある場合も、非常用進入口を設置する必要がありません。たとえば、美術品や金庫室など、防犯上、進入口を設けることができないケースがこれに該当します。そのほか、留置所・拘置所など、拘禁することを目的としている場合、無響室・無菌室など、遮蔽することが必要な場合、冷蔵倉庫である場合など、進入口を設けることによって、その目的・用途が妨げられる場合も含まれます。また、放射性物質や有害ガス・爆発物など、周囲に危険を及ぼす可能性がある場合も同様です。ただし、そのすぐ上の階もしくは下の階から進入できることが条件となります。
オフィスビルに設置が義務付けられている非常用進入口についてご説明してきました。検査は地域・役所あるいは消防署によって基準がまちまちというのが現状で、必ずしも建物の非常用進入口が建築基準法に則ったものであるとは限りません。その場合、万が一の際に、消防・救助活動がままならず、重大な事故に発展してしまうケースがないとも言い切れません。普段から防災への意識を高め、緊急事態に備えておくことが求められると言えます。
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