日本のオフィスでは、これまであまり防音に注意を払うことがありませんでした。ところが近年は、プライバシーを重視する傾向が高まり、情報漏洩が社会問題化してきているほか、通常の会議よりも音漏れが多いと言われるテレビ会議の流行などもあり、防音への関心が高まっています。スマートなオフィスづくりに欠かすことができない音環境への対策について、防音工事を中心にご紹介します。
オフィスで防音が必要となるケースは、室内から出る音が隣接する部屋にまで届いて騒音にならないようにすることに加えて、盗聴されないこと、さらに外部からの騒音を防ぐ目的などが考えられます。近年流行している貸会議室のように、複数の会議室同士が隣接している場合は、各会議室にそれぞれ防音工事が必要となります。また、防音されていれば良いわけでなく、オフィスの居住性および生産効率向上のためには、室内での会話に違和感を感じないような音響設計も需要になるといえるでしょう。
防音性能は、D値という「遮音等級」によって評価されます。このD値の数字が大きくなればなるほど遮音性能が高いことを示します。隣接する部屋がどのような使用条件下にあるかによって必要とされる防音性能は変動しますが、隣室の音が「ほとんど聞こえない」「聞こえない」に該当する、D50からD60あたりが目標値と一般的には考えられています。ただし、多くの発言が行き交う会議室や拡声器による音などが使用される場合は、さらに「遮音等級」が高いD60からD70程度の防音性能が求められます。
防音工事にかかるコストは、どんな部材を使用するか、またどんな施工方法をとるか、さらに防音工事そのものの内容や、オフィス設備などの現状次第によっても変動します。そのため、1平方mあたり〜円といった相場はありません。部屋の隙間を埋めたり、簡易的な吸音工事を施すだけであれば、数万円もしくは数十万円で済むこともありますが、高性能の防音壁を作るとなれば数百万円・数千万円という莫大な費用が必要になってきます。複数の専門業者に希望する防音の度合いを伝え、提案を比較・検討し、要望・予算に合った業者・工事方法を選ぶ必要があります。
大規模な防音工事は費用も工期もかかってしまう上に、退去する際には復旧工事が必要になる場合もあります。また、消防法との兼ね合いで、間仕切りを立てられないケースもあるでしょう。そのような場合は、工事が不要な防音対策をとるのも有効かもしれません。たとえば、ワンタッチで取り付けが可能な防音ボード、オフィスの反響音を吸収する吸音パーティション、向かい合ったデスクに設置し、電話の声などを聞き取りやすくするデスク用吸音パーティション、サーバーのノイズを軽減するサーバー用防音パーティションなど、設置するだけで簡単に効果が期待できる防音アイテムも少なくありません。また、TV会議をするオフィスでは、音漏れを軽減するテーブルを採用するのも良いかもしれません。
快適であるだけでなく、安心できるオフィスづくりに欠かせない防音工事についてご紹介してきました。多くの人で共有するスペースである以上、オフィスにはあちこちに音の問題が散見されます。イライラして仕事の妨げとなるノイズのほか、防音設備がないため情報が漏洩するということも十分に考えられます。はじめから防音施設の整ったオフィスばかりではありません。ぜひ音の問題について関心を高め、より良いオフィスづくりにお役立てください。
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