賃貸オフィスの契約には、主に普通借家契約と定期借家契約があります。日本の不動産の賃貸契約では、従来は借主が有利でしたが、2000年にスタートした定期借家契約によって、オーナーと借主の関係にも変化が生まれました。普通借家契約と定期借家契約の違いや、定期借家契約で賃貸オフィスを契約する際のポイントをまとめました。
賃貸オフィスの普通借家契約は、契約期間を定めて賃貸契約を行い、契約期間の終了時に借主が更新を希望すると、契約が更新されます。オーナー側からは正当な理由がなければ、更新を拒否することはできず、大幅に賃料をアップすることはできません。普通借家契約の契約期間は1年以上とされ、1年未満の契約は「期間の定めのない契約」とみなされます。
普通借家契約は貸主保護の立場に立ったもので、一般的なマンションやアパートなどの住宅系の賃貸物件でもよくみられる契約形態です。
賃貸オフィスの定期借家契約では、1年未満の期間の契約を定めることも可能で、契約期間が満了すると契約は終了となります。オーナーと借主の双方の合意によって引き続き借りる場合には、更新という形ではなく、再契約を結ぶことになり、新たな賃料はオーナーの意志で自由に設定できます。また、中途解約ができない契約とするケースが多く、解約する場合は残りの契約期間分の賃料を支払うことになりますので、注意が必要です。
オーナー側が契約をコントロールしやすい定期借家契約ですが、オーナー側にも一定の義務があります。1年以上の契約の場合は、契約期間終了の1年前から6カ月前に終了通知を借主に送り、契約が終了することを通達する必要があります。借主側は終了通知を受け取っていない場合には、契約期間終了後も最長で6カ月間の契約の継続を要求することが可能です。
東京都内の大規模なオフィスで賃貸オフィスでは、大手不動産会社所有の物件を中心に、定期借家契約への移行が進んでいます。
普通借家契約は借主が希望すれば、契約を更新して借りられるのに対して、定期借家契約ではオーナー側に再契約の意志がない限りは、明け渡すことが前提です。しかし、契約期間を10年とするなど、長期間の契約にする事で定期借家契約の契約期間満了後に発生する、「更新ができるかどうかの不透明さ」がなくなる為、更新料を払わずに済むことが逆にメリットとなります。あるいは、「家賃の滞納がない場合には再契約を結ぶ」と特約に盛り込むことも一案です。
中途解約についても、普通借家契約でフリーレントにより賃料無料期間がある場合、解約禁止期間が設定されます。また、定期借家契約で借主側からの中途解約では、6カ月前の解約予告によって違約金の支払いを免除されるように、契約に盛り込む方法もあります。
普通借家契約の方が借主側に立ったものですが、特約の盛り込み方によっては、定期借家契約でも、借主側に不利とは一概にはいえないのです。
定期借家契約は契約期間の満了時に更新できないことがあるため、借りる側にとってはオフィスの移転を視野に入れておく必要があります。そのため、再開発のため期間限定で貸したいケースなどでは、借主がつきにくいことから、周辺相場に比べて賃料が低めです。
スタートアップなどでオフィスの開設費用を抑えたい場合、広いオフィスへ契約満了時に移転することを目標として、定期借家契約の物件を借りることも選択肢に入れてみましょう。定期借家契約で契約期間が短い場合には、オーナーの審査が通りやすいこともメリットとなります。
普通借家契約も定期借家契約でも、特約によって契約条件は大きく変わります。契約形態だけにとらわれずに、自社に合った契約となるように、賃貸オフィスの契約時には契約内容を精査することが大切です。
賃貸オフィス総合情報サイト「 officil 《オフィシル》」は、都内ビル物件情報の掲載数はNo.1!
賃料10%キャッシュバック! · ご成約するまで完全無料! · 実績多数のスピード対応!