オフィスを借りるとき、さまざまな不動産用語を初めて聞かされることも多いと思います。でも、契約時に注意していないと、後で思わぬお金が必要になる場合もあります。後で後悔しないように、不動産用語を正しく理解し、どのような契約内容になっているのかきちんと把握しておきましょう。今回は「償却金」についてご説明いたします。
賃貸オフィスを借りるにあたり、借り手は貸主に保証金を預け入れる必要があります。これは家賃滞納時などの担保として預けているお金です。保証金は契約終了時に返却されますが、「償却金」とは、この中の返ってこないお金のことです。たとえば、「保証金の償却年10%」という条件なら、保証金が100万円の場合、年間10万円が償却金(返ってこないお金)となります。この場合、更新時には、当初の保証金を回復させなければならないので、3年目に更新ならば、目減りした30万円を補填しなければなりません。また、「解約時償却2ヶ月」と定められている場合は、解約時に保証金から家賃の2ヶ月分を差し引かれますが、更新時に補填は必要ありません。
オフィスの賃貸契約では「礼金」というものはあまり聞かなくなりましたが、これはオーナーさんに対して「貸していただいてありがとう」という意味で支払うものです(礼金の相場は家賃の1~2ヶ月分)。償却金と同じで返却されないお金ですが、意味合いが異なり(実際はどちらもオーナーの儲け分)、支払う時期も異なります。「礼金」は契約時に支払いますが、「償却金」は解約時に保証金から差し引かれ、または更新時に支払います。「礼金」「償却金」などは地域によっても違いがあり、近年の大手デベロッパーや生損保会社の物件などは、償却金は設定されていません。
オフィス契約時には、この「償却金」がどのように設定されているか、必ず確認しておきましょう。「償却金」の相場は家賃の1~2ヶ月分もしくは保証金の10%程度です。オフィスによっては、更新ごとにまとまったお金が必要になってくるので、注意が必要です。また、契約までに、できることなら値引き交渉なども行っておきましょう。経営者にとって交渉上手は今後の会社経営にも大きく影響してきます。「ダメ元」で交渉した結果、多少でも有利な条件を引き出すことができたら、会社経営も幸先のいいスタートを切ったといえるのではないでしょうか。
退去時に保証金の返還におけるトラブルは多く、借主側が原状回復費用とは別に支払う「償却金」は何のための費用か理解できず、支払いを拒む場合もあり、裁判にまで発展することもしばしば。しかし残念ながら、契約書に「償却金」の条件が記載され、サイン・捺印してしまうと、否応なしに保証金から差し引かれてしまい、裁判でもほとんどの場合、貸主側の勝訴となっているようです。また、3年契約(家賃の10ヶ月分が敷金、3年ごとに3ヶ月分が償却という条件)で、1年で中途解約をしたら、3年分の償却金を引かれてしまったということもあります。これについては、家主に交渉した結果、後から2年分の償却金は返還されたそうです。しかし、交渉がなければ、そのまま借主が多額のお金を損していたことになります。
トラブルを避けるためには、契約時にしっかり契約内容をチェックし、「償却金」の支払いに納得ができてから契約書にサインしましょう。特に、更新時や中途解約時の取り決めはしっかり行ってくださいね。先ほども触れたように、最近では償却金が設定されていないオフィス物件も増えていますが、残念ながら、こういう物件はオフィス自体もグレードを高く設定しているため、家賃が高額になっています。どちらを選択するのが自社にとってメリットになるのか、考えた上で判断してくださいね。
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