オフィス代表者ならぜひ知っておきない「ハートビル法」について

閲覧数:2,992     更新 2016年9月8日更新
カテゴリ: 不動産用語
ベンチャー企業経営者の方なら、きっと一度は「ハートビル法」という法律について耳にされたことがあるはずです。建築物に関する重要な法律のひとつで、オフィスの代表者にも関係するケースがあるため、ぜひ知っておきたいもの。「ハートビル法」の意図するところ、またオフィスを賃貸する際に注意すべき点についてご紹介します。

「ハートビル法」とその目的とは?

「ハートビル法」とは、1994年9月に施行された「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」の通称です。来たるべき高齢社会に向けて、体が不自由な高齢者および身体障害者らが積極的に社会参加できるようにするために、特定の建築物について、誰もが等しく利用しやすいように整備することを目的としています。「ハートビル法」では、学校、病院などと並び、オフィスもまた不特定多数の人が利用する「特定建築物」と定められ、階段の手すり、廊下の幅など、バリアフリー化の基準が定められています。

「ハートビル法」が定める建築主が果たすべき責務

多くの人が日常的に利用する「特定建築物」を建てる際、建築主が果たすべき責務が伴います。「ハートビル法」では、最低限のバリアフリーの基準として「利用円滑化基準」が、そして理想的な水準を示すものとして「利用円滑化誘導基準」が定められています。主な「利用円滑化基準」としては、以下のことが挙げられます。
・車椅子と人とがすれ違えるような廊下幅の確保
・車椅子用のトイレがある
・目が不自由でも利用しやすいエレベーターがある
また、「利用円滑化誘導基準」としては、たとえば以下のことが挙げられます。
・車椅子同士がすれ違えるような廊下幅の確保
・車椅子用のトイレが必要な階に設置されている
・エレベーターがある

ビルテナントの代表者は「建築主」に該当するのか?

「ハートビル法」では建築主が果たすべき責務について定めています。よって、ビルテナントの代表者は「建築主」に該当しないと考えがちですが、必ずしもそうではありません。建築基準法で「建築主」とは、建築物に関わる工事の契約の注文者、または契約によらず自ら工事をする者をいいます。つまり、ビルのテナントが内装の工事を発注した場合の「建築主」は、発注者であるテナントの代表者とする考えが一般的です。そのため、場合によっては、ビルテナントの代表者もまた「ハートビル法」の定める建築主が果たすべき責務を負うということになるわけです。

「ハートビル法」が定める基準認定を受けるメリット

建築物が前述した「利用円滑化誘導基準」を満たす場合、建築主は所管行政庁から認定されることで、メリットを享受できます。ベンチャー企業経営者に関係があるものとして挙げられるのが、日本政策投資銀行から低利融資を受けられることです。これは、認定を受けていなくても、一定の配慮がなされているだけで対象となる場合もあるようです。また、建築基準法による確認申請と同時に「ハートビル法」の認定申請を行った場合、確認手数料が無料になるという特典もあります。
建築物に関する重要な法律のひとつである「ハートビル法」について、その目的や、オフィスを賃貸する際にベンチャー企業経営者が注意しておきたい点についてご紹介してきました。「ハートビル法」の対象とならない場合でも、すべての人が快適にオフィスを利用できるよう努めることは、代表者として果たすべき責務であると言えます。より良いオフィス環境を目指すために、今一度「ハートビル法」について確認し、意識を高めておきたいものです。
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