入居するためにオフィスビルを探していると、インテリジェントビルという言葉を耳にすることがあります。これは、オフィスのOA化に対応するために配線を工夫したり、電力や通信設備を強化した、付加価値のあるオフィスビルのことです。インテリジェントビルという名前はとても聞こえはいいですが、近年は問題も指摘されているようです。インテリジェントビルの特徴や入居を検討する際の注意点についてまとめました。
「インテリジェントビル」という言葉は、はっきり定義されているわけではありませんが、「高度情報化建築物」ともいわれ、一般的には、最新の建築設備や情報通信機能を備えたオフィスビルといった意味で使われています。インテリジェントビルでは、電話回線やLANなどの通信機能、空調や給排水・照明などの館内設備、またセキュリティなどがコンピュータによって制御されます。利便性、生産性、エネルギー効率などを高めることで、より快適なビル居住空間の確立を目指しています。
「インテリジェントビル」という言葉は、1984年にアメリカのとある会社が自社で建てた高層ビルを宣伝するために広告コピーとして使ったのが始まりです。アメリカでは「スマートビル(smart building)」という言い方も一般的のようです。日本国内では、1980年代末から普及し始め、当時はコンピュータの配線を効率化するためのフリーアクセスフロアを設置し、機器の安全な運転に必要な空調設備を完備したものを指していました。実際の居住空間とは別に、大きめの余剰が必要だったため、高コストな建築物と考えられていましたが、入居者の評判も良く、高い賃料でも人気があり、1990年代を通じて建設されました。
「インテリジェントビル」には問題がないわけではありません。情報通信だけでなく、ビルの管理システムにおける技術の進歩がきわめて速いため、建物が老朽化してしまう前に肝心の設備の方が先に古びてしまう傾向があります。それに加え、無線LANが普及したことによって、必ずしも会社に属さない人、もしくは属していたとしても在宅やサテライトオフィスで勤務する人が増加してきたことで、ビル供給は過剰傾向に。近年では、簡易宿舎などのような本来の設備機能をまったく必要としないテナントを入居させるビルも少なくなく、こうした傾向は今後ますます増加すると言われています。
「インテリジェントビル」に入居する際には、他のビルと比べて設備が先進的と言えるかどうか、また設備の機能拡張がどのくらい想定されているかをチェックすることが大切です。現在は「インテリジェントビル」であるかどうかをオフィス選びの基準とする時代ではなくなっています。ビルの設備やサービスが老朽化してしまったとしても、なお利便性、生産性、経済性(省エネ)などがどのくらい確保できるかを考慮するとよいでしょう。
「インテリジェントビル」の特徴や入居する際の注意点などについて説明してきました。将来的な技術の進歩に対応するのは困難とはいえ、業種によっては「インテリジェントビル」に入居するメリットは少なくありません。実際、ベンチャー企業経営者の中には「インテリジェントビル」の提供する設備に魅力を感じる方も多いはずです。自らの会社が現在必要としている設備だけでなく、将来的に必要になるであろう設備とをしっかり見極めさえすれば、「インテリジェントビル」はきっと有力な選択肢になるはずです。
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