事業をスタートさせて間もない企業にとって、家賃は費用全体の中でも大きいものです。そして、はじめのうちは売上が思うように伸びないこともあるでしょう。すると家賃の支払いを滞納することだってあり得ます。そんなとき、滞納してしまった家賃を請求されるのは当然ですが、そこへ遅延損害金も加算されるのでしょうか?契約時に確認しておくべきでしょうか?賃貸オフィスを借りる際の遅延損害金について解説します。
賃料を滞納してしまった場合、請求の際に遅延損害金(遅延利息)を請求されることがあります。債務者である借り主が債務の履行(賃料の支払)を怠った場合、借り主は債権者(貸し手)に対し債務不履行責任を負います。この債務不履行のひとつに「履行遅滞」というものがあります。「履行遅滞」が生じると、貸し手は借り手に対して、本来の債務の履行に加えて、滞納による損害賠償を求めることができるのです。この損害賠償金こそが「遅延損害金」です。
損害賠償である「遅延損害金」は、債務不履行によって発生してしまった実際の損害を賠償するものです。ところが、賃貸オフィスの場合、損害を金銭に換算するとどのくらいの額になるかを決めるのは簡単なことではありません。仮に裁判となれば、鑑定人に依頼するなど費用も手間もかかりますので、それを省略するために、契約時に債務不履行による損害額をあらかじめ定めておくことが認められています。債務不履行が実際に生じた場合、実際の損害の程度に関係なく、予定されていた額の遅延損害金を支払うことになるわけです。
遅延損害金は利息ではありません。ですから、たとえオフィス賃貸契約において、遅延損害金についてはあらかじめ何も決められていなかったという場合でも、賃料の滞納が発生した場合には、貸し手が借り手に対して遅延損害金を請求してよいことになっています。また、オフィス賃料のような金銭債権の場合、遅延損害金を請求するにあたっては、実際にどのくらいの損害が生じたかについて立証する義務はありません。借り主はこれにすみやかに応じる必要があります。
契約時にあらかじめ決めておいた遅延損害金利率のことを「約定利率」といいます。「約定利率」が決められている場合、これが優先して適用されますが、それはあくまで利息制限法の枠内においてであり、法外な利率の場合、公序良俗違反として無効になることがあります。「約定利率」が決められていない場合は、法律が定めるところによる利率「法定利率」によって遅延損害金が算出されます。「約定利率」と「法定利率」では利率がかなり異なりますので、契約時に確認しておきましょう。
仮に「遅延損害金」を請求され、それに応じなかった場合ですが、賠償金を支払わなかったとしても、刑法違反とはなりません。つまり、逮捕されたり投獄されたりすることにはなりません。しかし、債務自体はいつまでも残ることになりますので、貸し手が裁判を起こし、判決が下されたなら、いつ強制執行があってもおかしくない状態となります。銀行預金や自動車、自宅内の動産、そして不動産などが差し押さえられる可能性があります。
賃料を滞納してしまった場合に発生する「遅延損害金」についてご紹介してきましたが、いかがだったでしたでしょうか。オフィス賃貸契約時には、賃料を滞納してしまうことを想定している方はあまりいないはずです。ましてや「遅延損害金」にまでは、なかなか頭が回らないのが現状だと思います。しかし、万が一の際、想定外の出費を避けるという意味でも、オフィス賃貸契約時には「遅延損害金」についても目を通しておくとよいでしょう。
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