入居先のオフィスビルを探していると、エレベーターコア方式という言葉を耳にはさむことがあるはずです。これは建築物の構造のひとつで、その名の通り、エレベーターが建物のコアを占めているビルのことを指します。入居するとなると、経営者としては、オフィスビルのハード面のこともある程度知っておく必要があります。ベンチャー企業経営者に向けて、エレベーターコア方式のオフィスビルについての概要をご紹介します。
オフィスビルには、片寄せコア・両端コア・中央コア・分散コアなど、さまざまなコアタイプがあります。片寄せコアは、レンダブル比が大きい一方、2方向の避難が難しく防災上は不利という側面があります。両端コアは、万が一の際の2方向避難経路を確保できる反面、レンダブル比がやや低くなってしまう傾向があります。中央コアは、コアから事務空間までの動線が短く、面積効率も高いほか、構造的に安定していますが、2方向避難が困難というデメリットがあります。分散コアには、コア部分に光や外気を取り入れやすく、また災害に際しての避難経路も確保しやすい反面、メンテナンスのための動線が事務空間を通る場合があります。
エレベーターコア方式とは、上記のコアタイプのうち、中央コアのひとつで、建築物の中心部分にエレベーターがあり、そのエレベーターを囲むようにして事務空間が設置される設計方法のことをいいます。建物の中心に設備などをまとめたいわゆるセンターコア方式とよく似ていますが、エレベーターコア方式は、さまざまなコア機能のうち、エレベーターだけがビルの中央部に配置されているもののことを指します。センターコア方式と同様、中層・高層・超高層マンションに多い構造です。
1970年代に新宿副都心の再開発が始まり、超高層ビルの建設が次々に進められました。耐震上の課題をクリアしつつ、積層によって床面積を確保しようとしたため、その当時に建てられたビルのうちほとんどがエレベーターを中央に配置するプランだったようです。はじめはコアを奥行き10mほどの事務空間によって取り囲むタイプが主流でしたが、基準階の面積が3,000平方メートルを超えるものも見られるようになりました。日本のオフィスは、個室でなく大部屋とする慣例があったため、エレベーターコア方式になじみやすかったといわれています。
エレベーターコア方式のオフィスビルには、次のようなメリットがあります。エレベーターが中央にあることで、エレベーターから各事務空間までの距離を均等にすることができます。エレベーターからの動線を短く設定できるため、廊下のスペースをかなり減らすことができます。また事務空間のレイアウトの自由度も高いという利点もあります。さらにエレベーターとともに他のコア機能を集中させることで、メンテナンスがしやすくなり、また躯体構造を合理化することにもなります。
オフィスビルのコアタイプについて概観し、エレベーターコア方式のオフィスビルの特徴についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。エレベーターからオフィスまでの距離など、なんでもないことのようにも思えますが、そうしたビルの構造に由来する基本的な空間設計は、オフィスの居住性とも直接関係しています。毎日利用することを考えるならば、ささいなことが快適なオフィス環境づくりと無縁ではないことがわかるはずです。ぜひお役立てください。
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