ここ数年で、スマートという言葉をよく耳にするようになりました。「スマートフォン」「スマートカー」「スマートグリッド」「スマートハウス」など。世の中のすべてのものが、どんどん賢くなっていくようです。そして最近注目されているのが「スマートビル」です。スマートビルを新しく建設したり、既存のビルをスマートビル化すると、どのようなメリット、またデメリットがあるのかをご紹介いたします。
スマートビルは、建物全体のエネルギー最適化を図るため、BEMS(ベムス)と呼ばれるエネルギー管理システムが導入された賢いビルのことです。スマートビルには、省エネ設備の他に創エネ設備や蓄電設備も導入されていて、BEMSがこれらすべての設備を管理するシステムです。これによって省エネ効果が期待でき、経費削減に繋がります。エネルギー管理システムは、スマートハウスの場合はHEMS(ヘムス)、スマート工場の場合はFEMS(フェムス)と呼ばれています。
BEMSとは「Building Energy Management System」の略で、日本語では「ビル用エネルギー管理システム」と呼ばれます。BEMSの役割は大きく分けて2つ。電力使用量・水道使用量・ガス使用量の見える化と、照明や空調、エネルギー設備などの制御です。BEMSは3つの要素から構成されています。ビル内の各種設備の制御と監視を行うためのBAS、BASから得たデーターを分析してビル内のエネルギーの最適化を図るEMS、さらに、人感センサー・温度センサー・照度センサーなどの各センサーが情報の収集を行い、このデーターをBASとEMSで活用するという仕組みになっています。これらすべてを総称してBEMSと言います。
・第一に挙げられるのが、省エネ効果です。BEMSを導入したスマートビルでは、導入前に比べると年間数十パーセントの節電が可能になります。この数値は、ビルの大きさや導入する設備の規模によって変わります。
・次に挙げられるのが、非常時に電力を使えることです。蓄電システムや太陽光発電システム・コジェネレーションシステムなどを導入している場合、蓄えている電力を使えるほか、自家発電もできるため、非常時でも安心です。
・そして、デマンドレスポンスに対応できるということもあります。デマンドレスポンスとは、電力需要の大きな時間帯の消費電力を抑える仕組みのこと。スマートビルでは、畜エネ設備や創エネ設備を活用し、ピーク時の電力消費を抑えられます。
スマートビルの最大の課題は、導入費用が高額になることです。BEMSを導入するだけなら、それほど高額ではないのですが、BEMSだけでは省エネ効果はあまり期待できません。BEMSを活かすための創エネ設備・畜エネ設備が必要になり、この設備の規模が大きくなればなるほど高額になってしまいます。また、一般消費者向けでないため、知名度が低いということもあります。知名度が広がり、さらなる技術開発によって導入コストの減少が期待されます。
スマートビルの数は現状ではまだあまり多くありませんが、専修大学生田キャンパスではBEMSにあたるMETASYSを導入しており、これによって学内の電力消費量の70%削減に成功しています。また、実例を公開している企業は、東京ガス・大阪ガス・NEC・IBM・ジョンソンコントロールズなどがあります。他にも、空港や美術館・病院などもBEMSのようなシステムを導入し、電力消費削減の効果を上げているようです。今後は着実にスマートビルが増えていくことになりそうな気配で、今の社会は「スマート」によって大きく変わる過渡期と言えるかもしれません。「スマート」が地球の環境を救う救世主になってくれるかもしれませんね。
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